奨学金破産しそうになったらどうしたらいいのか?奨学金破産の4つの解決方法と2つの救済方法

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奨学金が返せなくて自己破産するケースが注目されています。
ネットでは、「自業自得ではないか?」などの意見もでて議論を巻き起こしています。そのきっかけとなったのが、こちらの記事です。
国の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっている。過去5年間の自己破産は延べ1万5千人
中略
無担保・無審査で借りた奨学金が重荷となり、破産の連鎖を招いている。
「奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる」朝日新聞 2018年2月12日
奨学金破産に関しては、以前にこちらのテレビ番組も話題になりました。
奨学金は社会人になってから返済するものですが、今、ご覧のように、返済しきれない人が急増。
自己破産に追い込まれるケースも、1万件に上っています。
「“奨学金破産”の衝撃 若者が…家族が…」クローズアップ現代 2016年6月2日(木)放送
そこで、奨学金破産しそうになった場合にやるべき4つの解決方法と、最終手段としての2つの救済方法をご紹介します。
目次
奨学金破産しそうな人が増えている原因
奨学金破産しそうな人が増えている背景には、どのような原因があるのでしょうか。
大学に進学することを当たり前とする風潮
大卒を前提とする求人が多いことや、学力が高くない人でも入れる大学が増えたことで、大学に進学することが当たり前という風潮があります。
親にしてみても「とりあえず大学には行かせたい」という考えを持っている人は多いです。
しかし、この風潮・考えに、明確な根拠はありません。なんとなくの「見栄」でしょう。
大卒でも給料の高い会社に就職できないという社会の変化
かつて大学とは、数少ない勉強が得意な人だけが行くところでした。希少性があったので、大学を卒業すれば給料が高い仕事に就けるという社会構造も成り立っていたのです。
しかし、大学に行くことが特別なことではなくなり、大卒であることと給料の高い仕事に就くことが、別問題となってきました。
大学を卒業しても、就職に有利になるような専門知識や人より優れた能力がなければただの人です。高卒の就活と大差ないともいえます。
さらに、不景気で、少ない給料しか出せなかったり人員削減をしている企業もある為、運が悪ければ、大卒でも職が見つからない・給料が安すぎて生活していけないということは、珍しくありません。
お金を稼ぐ力の個人差
高度経済成長社会から情報化社会への変化に伴って、お金を稼ぐために必要な力の種類が変わってきました。
学校の授業を受けて、おとなしく真面目に過ごしているだけでは社会に出た時に役割をつかみ取れない場合もあるのです。
新しい価値に気づく力・情報発信力・コミュニケーション能力・ITリテラシー・個性や強みの有無などによって、お金を稼ぐ方法が多様化しています。
大学を卒業して真面目に生きていても、運悪くこの分野のことが苦手な人は、収入が低くなる傾向があり、生活が困窮する可能性が高くなっています。
お金のやりくりする力の個人差
世の中にある商品が多様化していて、値段の高いモノから安いモノ、性能の良いモノから悪いモノまであり、選ぶための知識が必要です。
自分の使えるお金に応じて、必要なモノを選ぶやりくりの力がないと、お金がすぐになくなってしまう人もいるでしょう。
スマホなどの生活必需品も増えています。安く手に入れる方法もありますが、やりくり能力がないと、無駄なお金がかかってしまい、生活の困窮につながるのです。
奨学金の返済が厳しくなったらやるべき4つのこと
奨学金破産につながる様々な原因があるにせよ、借りてしまった奨学金は何とかしなくてはいけません。奨学金の返済が厳しくなってしまったときには、どうすれなよいのでしょうか。
収入を上げる
働き盛りの大卒男性でも、失業・リストラ・減給・ボーナスカットなど、収入低下に直面する人が珍しくない世の中です。Fラン大卒や女性になると、状況はさらに厳しくなります。
そんな中で収入を上げることはかなり難しいですが、チャレンジしてみないと何も始まりません。
転職や副業などの手段がありますので、少しでも収入をあげられる方法がないか探してみましょう。
生活コストを下げる
都市部の家賃が高騰しています。毎月の収入のほとんどが家賃に消えている人もいるのではないでしょうか?
探せば安いアパートはたくさんありますので、条件を譲って家賃コストを下げれば、その分を奨学金の返済に充てられるのではないでしょうか?
その他にも、スマホ代・通信費・外食費・交際費など生活にかかるコストは安くする方法があります。
数千円の節約でも積もればそれなりの金額になりますので、削れる生活費を見直してみましょう。
国から受けられる経済的な支援を探す
医療費がかかっている・精神障害があって収入を上げられない・税金の支払いができない・生活費が足りない等で困っている場合、国の制度によって、控除を受けたり、助成金などの経済支援が受けられることがあります。
詳しくは、厚生労働省のホームページでも説明されています。(厚生労働省みんなのメンタルヘルス 経済的な支援)
よく分からない場合は、市区町村の窓口で相談してみるとよいでしょう。
借金の整理をする
借金を整理するとは、債務整理のことで、すべての借金が全く支払えない状況の時に行うのが自己破産です。
債務整理イコール自己破産のイメージが強いですが、実は、債務整理を検討する人の多くが、何らかの解決余地を持っている為、多くの人が、債権者と話し合って返済額や支払方法の見直しを行う「任意整理」という債務整理の手段をとります。
任意整理は簡単な手続きで行えますし、自己破産をするとローンが組めないなどの大きなデメリットもありません。
ただ、自分の借金の状況によって、どのような債務整理の方法が使えるかは、素人では判断が難しので、法律の専門家に相談する必要があります。
ネットを利用すれば、無料で相談できるので、活用するとよいです。
「債務整理で借金が減らせるならば、奨学金も減らせるのでは?」と期待する人もいるかもしれませんが、奨学金はもともとの金利が低いため、任意整理の効果があまりないことが多いです。
また、日本学生支援機構(JASSO)は任意整理の交渉に応じてくれません。
なので、奨学金以外の借金を整理して、生活の立て直しを目指しましょう。
奨学金破産しそうになった時の2つの救済方法
できる手は打ってみてもどうしても奨学金破産してしまいそうな場合には、最終的に2つの救済方法があります。
奨学返還換猶予や減額返還の申請をする
奨学金の返済をいったん保留にして待ってもらったり、返済額を減額してもらう方法があります。
日本学生支援機構(JASSO)から奨学金を借りている場合、「奨学金返還期限猶予願」または、「奨学金減額返還願」を提出することができます。
届け出用紙は、日本学生支援機構のホームページからダウンロードできます。
印刷して記入し、郵送またはFAXで受け付けてもらえます。プリンターがない場合は、コンビニで10円から印刷できますし、図書館やネットカフェで、パソコンからの印刷サービスを利用する方法もあります。
ただし、日本学生支援機構の奨学金減額返還には条件があります。また、返還期限猶予も最大で12カ月です。それまでに生活を立て直して、再び奨学金返済を続ける必要があります。
自己破産をする
奨学金・家や車などのローン・カードローン・消費者金融からの借金など、すべての借金を支払い不能として免除してもらう究極の債務整理が自己破産です。
自己破産をすると、連帯保証人に迷惑がかかることは確かです。
でも、奨学金は、あなたが勝手に親を連帯保証人にして契約をしたものではないですよね?
親が「奨学金をつかってくれ」と言ってきた人も多いでしょう。
あなたが気を使って自分で奨学金の利用を提案したとしても、連帯保証人になることを受け入れたのは親自身の判断です。
奨学金破産しそうなくらいまで頑張ったのですから、その責任はもう、あなた一人で受け止める問題ではありません。
連帯保証人にきちんと報告して、再スタートを切りましょう。
自己破産には、人生のどん底のようなイメージがありますが、実態は、ありがたい救済措置です。
辛いのは、自己破産するまでで、手続きが完了すれば、返済に追われることがなくなります。穏やかな普通の日常生活が待っているのです。
2017年の個人の自己破産申立件数は、7万件近くもあると発表されています。(「個人の自己破産、前年比6.4%増」ヤフーニュース)
奨学金破産をしても大丈夫!
奨学金破産しても、人生終了ではありません。救済措置を利用して、普通の生活を取り戻すことができます。
一番苦しいのは、返済に追われながら解決手段に迷っている時です。解決方法を決めれば、前に進むことができます。
また、社会問題といえるほど、奨学金破産に悩んでいる人はたくさんいます。同じような境遇で頑張っている人がたくさんいるのです。なので、助けてくれる制度もたくさんあります。
気づいた失敗は、これからなおしていけばいいことです。
人それぞれに色々な事情もあると思いますが、使えるものを活用して、一つずつ問題解決していきましょう。
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